【特別展】日本画聖地巡礼-東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門-

 秋の風が心地よい休日。東京広尾、山種美術館へ出かけた。

【特別展】日本画聖地巡礼東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門-を観る。

山種美術館【特別展】日本画聖地巡礼 2023年9月30日(土)-11月26日(日)

橋本明治≪朝陽桜≫は福島県三春町「三春の滝桜」
 奥村土牛≪鳴門≫は徳島県鳴門市「鳴門の渦潮」
を描いた作品

 画家が訪れ描いた場所を「聖地」として、北は北海道から南は沖縄まで、美術館に居ながらにして日本画作品の「聖地巡礼」の旅を楽しめる。

 

 最北は岩橋英園≪カムイヌプリ≫で摩周岳(摩周湖の外輪山の最高峰)を描いた作品、最南は川﨑鈴彦≪沖縄の家≫だった。

 

 作品ゆかりの地の写真が添えられていた。 

速水御舟≪名樹散椿≫ と 京都地蔵院の五色八重椿

奥村土牛≪城≫は姫路城を描いた

 日本の四季の美しさ、自然の雄大さ、お城の凛々しさなど、画家が観察して感じ表現した絵画作品はおどろきと喜びを与えてくれた。

 

 大胆かつ繊細な日本画の表現がすばらしい。写真通りに描かなくていいのですね。

 

 コロナ禍で思うように旅に出かけられない期間が続いたが、山種美術館聖地巡礼を楽しんだあとは私も本当の旅に出かけたくなった。

 

   おまけ。

 

グリーティングカード6枚セット/川合玉堂


 帰りに立ち寄ったミュージアムショップでは、大好きな川合玉堂作品のグリーティングカードセットが買えた。

浦和には8つの駅がある~鉄道開業150周年によせて~

 10月14日は「鉄道の日」。明治5年(1872年)10月14日に新橋-横浜間に日本で最初の鉄道が開通して、2022年は150年の節目を迎える年になる。

 

 JR武蔵野線に乗ると、「○○うらわ」駅が連発される?エリアがある。「東浦和」「南浦和」「武蔵浦和」「西浦和」・・・大宮に行くのだけど乗り換えは何浦和だっけ?と少々パニック、焦ってしまう。

浦和には8つの駅がある

 浦和には8つの駅がある。「浦和」「東浦和」「西浦和」「南浦和」「北浦和」「武蔵浦和」「中浦和」「浦和美園」。名は体を表すではないけれど、駅名はその土地を表す冠そのもの。浦和のプライド、愛着が8つの駅名に表れているようだ。

 

 ちなみに「旧浦和市」は2001年(平成13年)に「旧大宮市」「旧与野市」と合併、その後2005年「旧岩槻市」を編入して現在は「さいたま市」になっている。

 

 出身は?と尋ねると「浦和」と答えるひとがほとんど、「さいたま市」とは言わない。サッカー(○○レッズ)、駅名、浦和のひとの浦和愛は鉄道150周年の鉄道愛に負けていない。

 

 鉄道開業200年のころには9番め、10番めの「うらわ」が生まれているのかしら。

第69回日本伝統工芸展

 大雨のなか、日本橋三越へでかけた。

 

 日本伝統工芸展は年に一度開催される日本工芸の公募展。会場の日本橋三越本店では7部門500点余りの作品を観ることができた。

日本橋三越本館7階、エレベーターを降りると「日本伝統工芸展」の案内。入場無料。

 7つの部門-陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸-ごとに入選作品が展示されている。蒔絵や螺鈿(らでん)に魅かれて漆芸部門をゆっくり鑑賞した。なかでも印象に残った作品は蒔絵箱「凜花」(まきえばこ「りんか」)、金色の背景に椿が表されていた。

田中義光作 蒔絵箱「凛花」(まきえばこ「りんか」)高松宮記念賞受賞

 花は甘いピンク色、葉はしっかりとした黒色。花、葉ひとつひとつに表情があった。背景の金色は太陽の光に見える。華やかで温かみのある漆の作品だった。

 

 漆の入選作は作家の方の優れた技で自然の草花や樹木、波や水、太陽や月の光などが美しく表現されているものが多く、観ていると作品に描かれた世界へ引きこまれるような思いになった。

左 須藤靖典作 乾漆蒔絵漆箱「果てしなき」(かんしつまきえうるしばこ「はてしなき」)

右 新井寛生作 乾漆螺鈿蒔絵箱「溢水」(かんしつらでんまきえばこ「いっすい」)

 他にも陶磁器、木竹工、布、金工、七宝、ガラス作品などを観た。ひとつのかたちになるまでたくさんの時間をかけているのだと思う。丁寧な仕事、いったいどうやって造っているのか私には見当がつかないが、ただ日本の工芸の技術がすばらしいことは間違いない。

 

 工芸作家の方の優れた技と、美しい作品に感激した。雨のなか来てよかった。また来年も訪れたい。

 

特別展「日本美術をひも解く 皇室、美の玉手箱」

 東京藝術大学大学美術館へでかけた。

    台風が近づいているらしく晩夏の上野公園は湿り気のある風が吹いていた。開館に合わせて美術館へ向かう。

 後期の展示、伊藤若冲動植綵絵」10幅は花や蝶、川魚、そして鶏が繊細に描かれていて、いまその場所に生きているかのよう。なかでも好きだったのが片足立ちの一羽の雄鶏「向日葵雄鶏図」。同展チケットにも登場している。

  雄鶏は朝露で輝くように赤い鶏冠、白、茶、黒色の羽根に艶があり、まぶしくかっこいい。傍らの向日葵には朝顔のツルがからみ、ゆらゆら揺れているようだった。

 「動植綵絵」は江戸時代後期に伊藤若冲が約十年の歳月をかけて取り組んだ全30幅の作品群。30幅のすべてが皇居三の丸尚蔵館に収められ、2021年に国宝指定を受けた。250年以上前に描かれたとは思えないほど鮮やかな色彩である。十年かけて描いた若冲の情熱が伝わってきた。いきものたちの生命力がこちらに迫ってくるのだ。

 そのほか十二代酒井田柿右衛門白磁麒麟置物」、並河靖之「七宝花鳥図花瓶」などが展示され、作品を360度ひとまわりして鑑賞できる。細部まで手がほどこされ美しい。ため息が出る。さすが美の玉手箱である。

 若冲の作品に触れ日本の四季と自然美、いきものの愛らしさを堪能した。公開されていない他の動植綵絵20幅はいつかきっと再び私を驚かせてくれるだろう。